皆さんはインターネットへの接続にブロードバンド・ルーターをご利用になられていると思います。 もしそのルーターを買い換えるとしたら、選定条件として何を重要視しますか? 価格でしょうか?機能の豊富さでしょうか? もし「安定性」を重要視するのであれば、こんな選択肢もあるという事を今回は書きたいと思います。 本日は、「格安NEC業務用ルーターIX2015の導入・設定その1」についてです。
こんにちは。猫ITソリューションズ広報の齊藤メイ(♀)です。本日は、「格安NEC業務用ルーターIX2015の導入・設定その1」についてです。
最初に書いておきますが、 IX2015(ファームウェアver8.3.47)は販売終了品のため中古での購入が前提となります。 実勢価格は8000~10000円程と思われます。
UNIVERGE IX2015 NEC Corporation IPv6対応 高速アクセスルータ 10/100BASE-TX *6 初期化済【中古ルーター】
4,980 円 (税込) 送料込
NEC Corporation UNIVERGE IX2015 IPv6対応 高速アクセスルータ 初期化済 動作確認済み、中古品です。 設定は、工場出荷時に初期化済 です。 ネットワークケーブル、マニュアル 等の付属品はありません。 キズや汚れ、経年による使用感 等がございますことを、予めご了承く..
IX2015は2004年02月24日に発売されたIPv6対応業務用ルーターです。 単純なスループット値「だけ」を見れば、ギガビットルーターが当たり前の現在からすれば時代遅れの感はさすがに否めません。
NEC: プレスリリース: 2004年02月24日-1
http://www.nec.co.jp/press/ja/0402/2401.html
しかし、 IX2015は現在でも充分使用に耐えうるスペックであり、 かつ業務用ならではの「安定性」という特徴があるのです。
ここで言う安定性とは「通信の安定性」「連続稼動における安定性」を指します。 IX2015の導入・設定方法の説明の前に、今回はIX2015の安定性について書いてみます。
接続数
通信安定の要因の一つとして「NAPTセッション数」というものがあります。 セッションとは簡単に書くと「通信の単位」の事です。 つまりNAPT、IPマスカレード(TCP/UDP/ICMP)における通信数を表しています。 最近のwebサイトはajaxを多用したリッチコンテンツが多いため、webブラウザで1ページ見るだけでもセッション数はかなりの数値になりますが、更に、- 複数ページ同時表示
- ネットワーク接続のある他アプリケーションの同時利用
- 複数台PCを同時利用
NTT Com宮川氏、「キャリアグレードNAT」の必要性を説明
http://cloud.watch.impress.co.jp/epw/cda/topic/2008/05/29/13036.html
iTunesは230~270、ニコニコ動画では50~80、Amazonで90ほどのセッションが使われているのだ。
IX2015はNAPTセッション数最大65535という、非常に高い数値を誇ります。
処理能力
要因二つ目は「パケット処理」です。 パケットとはデータのまとまりの単位の事です。パケットの種類には「ショートパケット」と「ロングパケット」がありますが、ショートパケットはIP電話など主にリアルタイム性の高い通信に、ロングパケットはファイルダウンロードなどリアルタイム性を要求せず転送効率を求める通信に主に使われます。 ショートパケットは、ロングパケットに比べて処理するパケット数が増えルーティング時の負荷が高くなるため、処理能力が特に求められます。転送 ルーター - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC#.E8.BB.A2.E9.80.81
IX2015はパケット転送に用いる経路表の数であるルーティングテーブル数が4096、通信のための帯域を予約し、一定の通信速度を保証する技術であるQoSとして「L2QoS」などいくつもの機能を有し、ショートパケットに対して高い処理能力を誇ります。
ちなみにパケット処理に失敗するとどうなるか?
いわゆる「ラグ」が発生する事になります。
ルーターの違いにおいて私がこのラグの有無を顕著に感じたのは、YouTubeの動画「途中」再生です。 これまで猫ITソリューションズで使用していたPLANEX MZK-W04Gは、スループット値はスペック上IX2015より遥かに高いのですが、途中再生をすると必ず待たされました。これが普通かと思っていたのですが、IX2015では待たされることがなくなりました。驚きです。
故障の多いF1マシンに乗るか、整備万全で安心な乗用車に乗るか、という感じでしょうか? 私は後者を選んだ形です。
安定性
次に「連続稼動における安定性」を考えてみましょう。 これは特にスペック表だけでは分からない部分ではあります。 比較対象は、これまで猫ITソリューションズで使用していたPLANEX MZK-W04Gとします。無線・有線すべて高速!:オールギガビット11n/g/b対応 高速300Mbps 無線LANルータ:PLANEX:MZK-W04G
http://www.planex.co.jp/product/router/mzk-w04g/spec.shtml
NIVERGE IX2000/IX3000シリーズ | ハードウェア仕様(販売終了機種): ネットワーク製品: 製品 | NEC
http://www.nec.co.jp/ixseries/ix2k3k/Spec/hw-spec-old.html#ix2015
データではなく稼働させた感想になるのですが、 MZK-W04Gは頻繁に切断、DDNSやファイルサーバー等の機能停止が発生し、その度に電源OFF→再起動をしていました。夏場は更にその頻度は上がり、全く安定せず困っていた記憶があります。 一方IX2015は障害など全く起こらず導入より一度も止まる事なく安定稼動しております。
※稼働時間は管理画面より確認可能ですが、先日の計画停電においてやむなく停止させましたので現在稼働日数は参考にならないと判断し提示致しません。ご了承ください。
さすが常時稼動を求められる業務用ルーター、という印象です。
ちなみに私ではなく弊社猫ITソリューションズ代表である齊藤の話ですが、IX2015はローソンかファミリーマートの支店間接続(POS)に使われていたのを見た事があるそうです。彼の記憶が確かならばの話ですが。(笑)
また郵便局にも使われていたという話も聞きます。 ちなみにこれも噂ですが、郵政民営化に伴いネットワークの一新が行われ、結果中古市場にIX2015が安価で大量に流れたらしいです。実績も違う、というところでしょうか。
上記は全く同じ場所・環境・ネットワーク構成で稼働させている、という条件下での感想になります。
次回は、実際にIX2015の設定方法について説明します。